私は高校時代、陸上の長距離選手として全国高校駅伝に出場したり、学生時代では箱根駅伝に出場を目指し、毎日のように走っていました。
速く走るためには何が必要なのか。
どうすれば昨日の自分を超えられるのか。
練習を繰り返し、振り返り、改善する。その積み重ねが競技生活のすべてでした。
引退したとき、「もうこんなに夢中になれるものには出会えないかもしれない」と思っていました。
しかし数年後、私はマーケティングという仕事に出会います。
広告運用やアクセス解析、SEO改善、ユーザー行動の分析に取り組む中で、ある日ふと気づきました。
「これ、陸上でやっていたことと同じだ。」
成果を出すために仮説を立てること。
結果を振り返り、原因を分析すること。
基礎を大切にし、小さな改善を積み重ねること。
そして、一人ではなくチームで成果を目指すこと。
競技は違っても、本質は驚くほど共通していました。
私は陸上を辞めましたが、陸上で学んだ考え方は、今でも仕事の中で生き続けています。
この記事では、元長距離ランナーの私が、マーケティングの仕事を通して改めて気づいた「陸上経験が仕事に活きる5つのこと」を、自身の経験を交えながらお伝えします。
もし学生時代にスポーツへ打ち込んできた方や、「スポーツ経験は社会人になっても役に立つのだろうか」と感じている方がいれば、何か一つでも参考になれば嬉しいです。
① 仮説を立てる力
陸上競技は、ただ速く走れば勝てる世界ではありません。
大会当日の天候や気温、コースの特徴、相手選手の走力、自分のコンディションなど、さまざまな要素を考えながらレースプランを立てます。
「最初の1キロ通過タイムをみて、自身のコンディションから配分考えよう」
「前半は状況を見ながら、先頭が追える集団につく」
「あの選手についていくとオーバーになるから、ちゃんと考えよう。」
「後半に得意な上り坂だから、そこで勝負かけよう。」
走る前から、勝負は始まっていました。
そして実際に走ってみると、思い通りにいくこともあれば、予想と違う展開になることもあります。そこで何通りもの立てた仮説が役に立ち、対処ができていました。
マーケティングもまったく同じです。
広告を出稿する前に、
「どのような人に届けるのか。」
「どんな広告文なら興味を持ってもらえるのか。」
「どのページなら申し込みにつながるのか。」
このような、いくつもの仮説を立てて施策を実行します。
しかし、思い通りにいくことはほとんどありません。
実際のデータを確認し、「思っていた結果と違う」と感じたら、その原因を分析し、別の仮説を立てて改善を繰り返します。
私はマーケティングを始めた頃、この流れにどこか見覚えがありました。
「これは陸上でも繰り返していたことだ。」
レースで勝つために仮説を立てていたように、仕事でも成果を出すために仮説を立てる。
競技は変わっても、成果を出すための考え方は変わっていなかったのです。
② 振り返る力
陸上では、練習をこなすだけでは速くなれません。
「なぜ今日は調子が良かったのか。」
「なぜ最後まで粘れなかったのか。」
「次は何を改善すれば記録が伸びるのか。」
このように、一つひとつの結果を振り返ることが大切でした。
私自身、練習日誌を書いたり、レース後に監督や仲間と振り返りを行ったりする中で、「感覚」ではなく「原因」を考える習慣が身につきました。
思うような走りができなかったときも、「今日は調子が悪かった」で終わらせず。
睡眠不足だったのか。
疲労が蓄積していたのか。
栄養が足りなかったのか。
練習内容が合っていなかったのか。
原因を一つずつ考え、改善を積み重ねていました。
この考え方は、マーケティングでも同じです。
広告の成果が悪かったときも、「反応が悪かった」で終わらせることはありません。
ターゲットは適切だったのか。
広告文は伝わっていたのか。
ランディングページに課題はなかったのか。
計測環境に問題はなかったのか。
数字を確認し、一つずつ原因を分析していきます。
改善を続ける中で、私は改めて気づきました。
「私は陸上で身につけた『振り返る力』を、仕事でも使っていただけだった。」
競技は変わっても、成果を出す人は、結果だけを見るのではなく、その結果が生まれた原因を考え続けています。
だからこそ、小さな改善が積み重なり、大きな成果につながっていくのだと思います。
③ 基礎を積み重ねる力
学生時代、私は「速く走るための特別な練習」ばかりをしていたわけではありません。
毎日のジョギングや補強運動、ストレッチなど、一見すると地味に思える基礎練習を繰り返していました。
当時は、「もっと速く走る練習をしたい」と思うこともありましたが、監督からは「基礎ができていなければ、その上に成果は積み上がらない」と教わりました。
振り返ってみると、その言葉は本当にその通りだったと思います。
基礎が身についているからこそ、負荷の高い練習にも耐えられる。
基礎があるからこそ、レース本番でも力を発揮できる。
派手な練習だけでは、長く結果を出し続けることはできませんでした。
マーケティングも同じです。
広告だけを改善すれば成果が出るわけではありません。
ユーザーが求める情報を届けるコンテンツ。
正しく計測できる環境。
目標から逆算したKPI設計。
データを分析する習慣。
こうした基礎が整っているからこそ、広告やSEOの施策が成果につながります。
私は仕事でも、「近道はない」と感じる場面を何度も経験してきました。
目立つ施策や最新の手法に目を向けることも大切ですが、それ以上に土台を整えることが重要です。
陸上で基礎練習を積み重ねてきた経験は、今でも私の仕事の土台になっています。
結局のところ、大きな成果は、毎日の小さな積み重ねの先にしかないのだと感じています。
④ チームで成果を出す力
陸上は個人競技というイメージを持たれることがあります。
しかし、私が取り組んできた長距離競技や駅伝は、一人だけが強くても勝てる世界ではありません。
チームメイトと切磋琢磨しながら練習を重ね、お互いに刺激を受け、一人では乗り越えられない壁を仲間と一緒に越えていきます。
駅伝では、自分がどれだけ苦しくても、次の走者へ一本のたすきをつなぐために最後まで走り切ります。
「自分のため」だけではなく、「チームのため」に走る。
この経験は、社会人になった今でも私の仕事に大きな影響を与えています。
マーケティングも、一人で完結する仕事ではありません。
企画を考える人。
広告を運用する人。
デザイナー。
エンジニア。
ライター。
営業担当。
それぞれが役割を果たし、一つの成果を目指します。
だからこそ、自分の成果だけを追い求めるのではなく、「どうすればチーム全体が成果を出せるのか」という視点が欠かせません。
私自身、仕事をする中で、自分一人の力には限界があることを何度も実感してきました。
だからこそ、知識や経験を共有し、相手が成果を出せるようにサポートすることを大切にしています。
その積み重ねが、結果としてチーム全体の成果につながると考えているからです。
振り返ってみると、私はマーケティングの仕事を通して新しい考え方を学んだというより、陸上で学んできた「チームで成果を出す」という姿勢を、社会人になっても実践していただけなのかもしれません。
競技は変わっても、本質は変わりません。
一人で勝つことよりも、仲間と成果をつくること。
その喜びを知ることができたのは、陸上競技が私に与えてくれた大きな財産だと感じています。
まとめ
学生時代の私は、全国高校駅伝や箱根駅伝を目指し、毎日走り続けていました。
当時は、「速くなること」だけを考え、仮説を立て、振り返り、基礎を積み重ね、仲間とともに競い合う日々を送っていました。
まさか、その経験が社会人になってから、マーケティングの仕事で活きているとは思ってもいませんでした。
しかし、改めて振り返ってみると、仕事で成果を出すために実践していることの多くは、学生時代に陸上を通して身につけていた考え方ばかりでした。
競技は変わっても、本質は変わりません。
仮説を立てる力。
振り返る力。
基礎を積み重ねる力。
そして、チームで成果を出す力。
これらは、陸上だけでなく、仕事や人生にも通じる普遍的な力なのだと感じています。
もし今、学生時代に打ち込んできた経験が仕事とは関係ないと思っている方がいるなら、一度振り返ってみてください。
当時、夢中になって取り組んでいたことの中に、今の仕事にも活かせる考え方や習慣がきっとあるはずです。
私は陸上を引退しました。
でも、成長することをやめたわけではありません。
競技が、マーケティングに変わっただけです。
これからも、昨日の自分を少しだけ超えられるように、一歩ずつ挑戦を続けていきたいと思います。

